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Sella d'argento シルバー・サドル/新・復讐の用心棒

イタリア映画 (1978)

ジュリアーノ・ジェンマ(Giuliano Gemma)主演のマカロニ・ウェスタン。スヴェン・ヴァルセッキ(Sven Valsecchi)は、助演者の筆頭に名前が出てくる。マカロニ・ウェスタンの最晩期に製作されたせいかもしれないが、小さな子が準主役を演じることは実に珍しい。スヴェンが1977-78年にかけて立て続けに出演した3作のうち2本目にあたる。

バレット一族を生涯の敵と思いつつガンマンになったロイ・ブラッド(Giuliano Gemma)。途中で出会ったスネイク(蛇)と一緒にセリドゥスの町へ。ロイの使っている銀の鞍は、昔、父を殺したバレット一族のルークから奪ったものだが、それをバレット家の農園管理人ターナーにみつかってしまう。ターナーは、ある黒幕の手下としてバレット家の直系の少年トーマス(Sven Valsecchi
)を亡き者にしようしていたが、ロイを見つけたことで、ロイにトーマスを殺させ、同時にロイも殺そうとたくらむ。バレットを殺せると喜んで墓地に行ったロイの前に現われたのは、予想した老人ではなく小さな子供だった。ターナーの手下との銃撃戦からトーマスを救ったことから、ロイとトーマスの不思議な逃避行が始まる。最後は、一時匪賊に誘拐されていたトーマスをロイが救い出し、トーマスの財産を狙っていた黒幕の叔父もロイに成敗されて目出度し目出度しで終わる。マカロニ・ウェスタンなので、複雑な心理描写は望むべくもないかも。なお、あらすじの部分の台詞は、日本語版が発売されるずっと前に購入した、ドイツ語版DVDに入っていたデンマーク語の字幕に基づいたものなので、必ずしも的確ではない。

スヴェン・ヴァルセッキの、小さい割に口達者なところと表情の豊かさを十分楽しむことができる。隔離・誘拐状態なので、最初きれいだった顔と服が次第に薄汚れていくが、大写しの表情は愛くるしい。


あらすじ

貧しい父子が、食事処を訪れると、金持ちの男が出てくるのに出会った。男に対し、騙して不毛の土地を売ったとなじる父。「貴様らのせいで 一文無しだ」。「ご愁傷だな」。「土地も金もない。どうやって、生きてくんだ?」。「かかあを 売春宿にやって、しっかり 働かせりゃいい。簡単に 儲かるぜ」。かっときた父が銃に手を伸ばしかけた時、いち早く撃たれてしまう。相手が背を向けた隙に、父の銃で仇を撃ち殺す12~14才の少年。多分、人を殺したのは始めてであろう。少年は、男の使っていた銀の鞍に乗って去っていった。
  

その20数年後。荒野で匪賊に襲われた馬車のそばで、犠牲者から金目のものをくすねる男。ある男のチョッキから銀貨をみつけ、喜んでよく見ようと持ち上げた時、銃声が轟き銀貨が吹き飛ぶ。よく見ると、銀貨の中央に銃弾が貫通した穴が開いている。すごい腕前だ。こそ泥はスネイク、拳銃の達人は眼光鋭い40才近いガンマンのロイ。少年が逞しく育った姿だった。
  
  

2人は、近くの町セリドゥスに向かう。しかし、ロイの銀の鞍で素性が知れ、罠が仕掛けられる。その片棒を知らずに担いだのがスネイク。ロイに、男を1人殺すだけで2000ドル手に入ると持ちかける。初めは取り合わなかったロイだが、「標的が、トーマス・バレットでもか?」と言われ、「バレットなら、話は別だ」「タダでやってやる」と墓地に出向く。そこに花束を供えに現れる男がバレットなのだ。立派な馬車が着き、銃で狙いを定めるロイ。ところが降りて来たのは年端もいかぬ男の子だった。戸惑っている間に、銃撃が始まる。狙われているのは、トーマスとロイの2人だった。ロイは、全員撃ち殺して子供を馬に乗せて立ち去る。
  

2人が、井戸にある場所までやって来た。そこで、少年が足にケガをしてるのに気付く。「痛むか?」。「いいえ、ただの かすり傷です」。しかし、痛みで少年は気を失う。「名前は?」。「バレットです。トーマス・バレット」。「まさか。トーマス・バレットは、60才位のハズだ」。「僕は、トーマス・バレット二世。それは、叔父でしょう」。憎いバレットを助けてしまったことに気付き、腹いせに傷口に酒をかけるロイ。少年は痛さに悲鳴を上げた。わめくな、バレットと知っていたら助けなかったと冷たく言い放ってロイは去っていく。
  
  

しかし、すぐに大きな叫び声。憎くても、相手は子供なので駆けつけるロイ。毒蛇の頭に見事にナイフが突き刺さっている。「お前が、ヤッたのか?」「どうして 叫び声をあげた?」。「大声をあげると、敵がびっくりするし、集中力も、高めるられるんだそうです」と言って、叫んでみせる。馬が驚きロイは落馬。倒れたロイに「お手伝い しましょうか?」。ロイは「二度と俺にかまうな」と言い捨てて、今度は本当に去っていった。
  

ロイが流浪の途中で廃墟の村を訪れると、そこに現われたのがスネイク。さっそく銃を突きつけて、よくも罠にかけたなと責める。弁解に納得せず殺そうとするロイ。そこに登場したのがお邪魔虫の少年。放してあげてと頼む。「この坊主、お前が連れてきたのか?」「ますます殺す理由ができたワケだ」。そうこうしている間に、少年の身代金目当ての匪賊ガレンチャの一団が攻めてきて、2対12の銃撃戦が始まる。戦いを制したのは、ロイが見つけたカーバイドの樽。カーバイドは、水と混ぜると爆発性のアセチレンが発生する。これを沢山の容器に詰めて少年に鐘楼に登らせ、そこから投げて爆発させる。さすがのガレンチャも逃げ出した。
  
  

戦いの後、なんとなく仲良くなった二人。「ガレンチャの奴、“じゃがいも袋”がいるって、何で分かったのかな」とロイ。“じゃがいも袋”は、少年が気絶してからの呼び名だ。「どうして、正しい名前で呼んでくれないのです?」「“じゃがいも袋”は嫌です。ちゃんと呼んで下さい。トーマスと」。ロイは、バレットとは呼べないがトーマスならいいと答える。「ありがとうございます」と言ってロイの頬にキスするトーマス。女性以外からキスされたのは初めてのロイの顔が面白い。
  

ロイは、自分を罠にかけたバレット家の農園管理人ターナーに復讐しようと、単身トーマスの姉の家に押し入る。そこで、自分自身がトーマスの誘拐犯と思われていて、身代金5000ドルを要求する手紙までよこした、と言われて驚く。すべてターナーの仕業だと思い、ターナーを殺すと言って去る。
  

スネイクとトーマスが待っているはずの場所に近付くと、いきなり銃撃され帽子が吹き飛ぶ。危ういところだ。ところが茂みから出て来たのは、銃を構えたトーマスだった。「ごめんなさい。あなただったとは」。「お前なのか。危うく死ぬとこだ」。「オテーロ神父の教えに従ったんです。まず撃ってから、声をかけろって」。ロイは、「お前と神父への、お仕置きだ!」と言って、トーマスの頬を張り飛ばす。ところで、スネイクはトーマスにロープでぐるぐる巻きに縛られていた。ロイの名前で自分に対する身代金要求の手紙を出した、と知ったからだ。
  
  

ロイは、荒野ではなく、顔見知りのシーバが経営する売春宿に身を隠すことにする。トランプ手品でトーマスを喜ばせるロイ。女性に連れられて寝室に行き、寝る前に「ここに来て、楽しかった?」と訊かれ、「うん、とても。こんな楽しいの初めてだよ」と子供らしい口調で答える。ロイは、シーマの助けを借りて、保安官からターナーの秘密を聞き出す。トーマスに何かあると、全財産は姉のものになる。そして、ターナーはその姉との結婚を狙っていると。これで動機が判明した。ところが、トーマスはおしっこが我慢できなくなり、必死で館内を探しているうち、ターナーとバッタリ。ロイと慌てて逃げ出すハメに。
  
  

ロイは、トーマスを修道院に預けておいて、ターナーを殺しに行く。何とか殺すことはできたが、修道院に戻ってみると、修道士は全員殺され、扉には「ガキが欲しけりゃ金を用意しろ、ガレンチャ」と書かれた紙がナイフで止めてあった。因みに、手紙はちゃんと英語で書いてある。マカロニ・ウェスタンのこだわりか。助けに急行するロイ。一方、トーマスの叔父は身代金10000ドルを部下に渡し、ガレンチャからいとこを取り戻すよう命じる。その使いの方が先にガレンチャの元に到着する。「金はあるか?」。「まず、子供を見せろ」。人質を見せて金を受け取り、使いがトーマス坊ちゃまを迎えに歩く背中にガレンチャのナイフが突き刺さる。驚愕するトーマス。必死で逃げるが捕まって柱に縛られ、何度も鞭打たれる。そこにロイとスネイクが助けに現れる。背後の丘を利用した作戦が功を奏して、スネイクは死ぬが、トーマスは助け出すことができた。
  
  

ロイはトーマスを連れて、トーマスの叔父の家に。そこで、ロイは、あんたこそ黒幕だと、淡々と話す。そして、「次の一手は、俺を殺す事だ」「それから、俺のピストルを使って、トーマスを殺す」。それを聞いて驚くトーマス。したり顔の叔父。何と言われても、ピストルを持っている方が強い。しかし、叔父のアンティーク・コレクションの拳銃は発砲できなかった。代わりにロイの銃弾が叔父の足に突き刺さる。「後は、縛り首だな」。最後は、トーマスがロイになついてしまい、一緒に旅に出るんだと言って子馬に乗って後を追っていくところで終わる。
  
  

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